【現場から学んだリアルな症例2】「右肘のズキンと走る痛み」
―15歳ピッチャーの“野球肘”とその背景にあった意外な原因とは?―
🧢 はじめに:
「投げたいけど、投げられない。」
そう話してくれたのは、高校1年生のピッチャーの男の子。
部活の試合で30球ほど投げた後、右肘の内側にズキンと響く痛みが出現し、そこから約3週間、全力投球ができずに悩んでいました。
🩻 痛みの場所と特徴
本人が一番気にしていたのは、肘の内側のピンポイントな痛み。
特に投球の「後期コッキングから加速期」にズキンとした痛みが走るそうです。
しかもその痛みは、上腕の後ろ側まで放散するような感覚がありました。
過去には投球中に「しびれ」も出現した経験があり、ただの筋肉痛や炎症だけではない印象です。
🔍 原因を探る評価で見えてきたこと
検査では、次のようなポイントが浮かび上がりました。
- 肘の屈曲・外転方向の関節の動きに硬さと痛み
- 神経の検査では目立った異常はないが、ストレスを受けた形跡あり
- 投球動作を再現したときにコンパラブルな痛みが出現
- 筋力や握力には問題なし → 機能障害は“関節のズレ”に近い印象
さらに詳しく診ていくと、「中東(近位橈尺関節)」や「上腕骨の動き」に偏りがあり、
それが内側の靱帯や神経にストレスをかけていた可能性もありました。
💡 見えてきた“本当の原因”
彼のケースでは、炎症が出た時期はすでに過ぎ、
今は「なぜそこに負荷が集中したのか?」という原因の掘り下げが大切な段階でした。
ポイントは3つ:
- 肘の関節が“ズレたまま”使われていたこと
- 肘への負担を代償していた肩・頸椎・体幹の使い方
- フォーム上の“ひねり過ぎ”や“外反ストレス”の蓄積
つまり、肘そのものではなく、
「投げ方」と「身体の使い方」の全体設計にズレがあったのです。
🔧 治療のアプローチ
今回は、肘の屈曲+外転+回外方向に制限が強かったため、
そこを**手技でゆるめながら調整(モビライゼーション)**していきました。
加えて、投球再開に向けては、
- 肩甲帯や体幹との連動性
- 頸椎・第一肋骨の動きの硬さ
- 再現性のある痛みの動作チェック
といった「再発予防」と「再構築」が鍵になります。
✍️ 最後に
彼はすでに、日常生活では痛みもなく、練習にもほぼ復帰しています。
ですが「また痛くなるかも」という不安があるうちは、
“治った”とは言えないと私は思っています。
肘の痛みは結果。
本当の原因は、フォーム・身体の使い方・そして日々の積み重ねの中にあります。
彼のように「がんばってるのに痛みが出てしまう子」を、
これからも全力で支えていきたいと思います。
💬 痛みや違和感がある方へ
「なんとなく違和感がある」「少し怖くて全力が出せない」
そんなときは、早めにご相談ください。
あなたの身体に、もっと合った使い方がきっとあるはずです。
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