整体・マッサージで治らない痛み|理学療法士が教える6つの評価法で原因を特定

病院・整体・マッサージ・整骨院──どこに行っても痛みが良くならない。「もうこのまま付き合っていくしかないのかな」と諦めかけている方へ。実は痛みの原因を正確に特定できていないだけかもしれません。
こんにちは。名古屋市守山区「フィジオサロンキムラ」院長の木村晋一朗です。理学療法士歴18年、のべ5万人以上を担当し、大学院で痛みのメカニズムを研究してきた視点から、治らない痛みの原因を見つけるための6つの評価法を解説します。

結論:「治らない痛み」は、評価されていない痛み
「マッサージに行っても一時的にしか楽にならない」──これには明確な理由があります。
- マッサージは「筋肉の緊張」に対するアプローチ
- 一般的な整体は「筋肉+関節」に対するアプローチ
- しかし、痛みの原因は関節・筋膜・神経・動作パターン・脳の感作など多層的
これらを一つ一つ評価して「どの層の問題か」を特定しないと、効果的な治療にたどり着けません。それが臨床徒手理学療法士の仕事です。
痛みの原因を探る 6つの評価法

評価① 問診(Subjective Examination)
いつから、どんな時に、どのように痛むのか──問診の情報量は、実は診断の80%を占めると言われます。「どこが痛いか」より「どう痛むか」が重要。
評価② レッドフラッグの除外
骨折・腫瘍・感染・馬尾症候群などの身体的危険信号の有無を最初に確認。安静時痛・夜間痛・体重減少・発熱があれば医師の精査が最優先です。
評価③ 動作分析(Active Movement Examination)
実際に動いてもらい、どの動きで痛みが再現するかを見ます。前屈で痛む腰痛と後屈で痛む腰痛は、全く違う介入が必要です。
評価④ 関節機能評価(Passive Physiological Examination)
療法士が関節をゆっくり動かし、関節の遊び(Joint play)の喪失を評価。MRIには映らない「機能的な硬さ」がここで分かります。
評価⑤ 筋機能評価
筋力・筋長・筋持久力を評価。「サボる筋肉」と「頑張りすぎる筋肉」のアンバランスを特定します。
評価⑥ 神経機能評価
神経の滑走性・感覚・反射を確認。「しびれ」や「放散痛」がある場合、この評価で原因層が特定できます。
なぜマッサージ・整体では特定できないのか

臨床原則である「痛い場所(被害者)と原因の場所(加害者)は別」はどの症状にも当てはまります。しかし多くの施術では:
- ❌ 痛む場所(被害者)だけを揉む・押す
- ❌ 画像所見(ヘルニア等)だけで原因を決めつける
- ❌ 一回の施術で「すぐ楽になる方法」に偏る
これらは臨床で頻繁に見る「治らない痛み」の背景です。本当に必要なのは原因階層の特定です。
痛みの3つの階層(Kimura Method)

階層①:関節機能障害型(深い痛み・低SIN)
関節の遊びが失われ、特定の動きで痛みが再現。MWM等の徒手療法で即効性が期待できます。
階層②:神経・組織過敏型(しびれ・高SIN)
神経の滑走不全、または中枢性感作。痛む場所を揉むと逆効果、離れた部位からのアプローチが必要です。
階層③:運動機能障害型(筋肉の重だるさ)
サボる筋肉と頑張る筋肉のアンバランス。加害者(動かない関節・眠った筋肉)を特定して再教育します。
6つの評価でこの3階層のどれか(または複合)を特定できれば、治療方針は自動的に決まります。
評価を受ける前に知っておきたい 3つのこと

① 「病院で異常なし」でも痛みは存在する
レントゲンやMRIは「構造」を見る検査。機能(動きの問題)は画像には写りません。異常なし=安心ではなく、別の評価が必要です。
② 「痛い場所」が原因とは限らない
膝痛で来院された方の原因が股関節・足部にあることは、臨床で非常によくあります。全身を見る視点が必要です。
③ 3ヶ月以上続く痛みは「脳の感作」も考慮
慢性痛では脳が痛みに過敏になっている可能性(中枢性感作)。組織だけでなく、神経系・心理社会的要因までアプローチが必要です。
Q&A
Q1. 理学療法士の整体って、普通のマッサージと何が違うの?
国家資格者として、医療レベルの機能評価ができることが最大の違いです。大学院レベルで臨床推論を学んだ視点で、痛みの層を特定し、エビデンスベースの徒手療法(MWM等)で介入します。
Q2. 何回通えば改善が分かりますか?
初回で痛みや動きの変化を実感される方が多数です。3-5回で方向性、8-12回で大きな改善が一つの目安。個人差はあります。
Q3. 診断結果を病院の医師に伝えても大丈夫?
もちろん大丈夫です。医療連携を大切にしており、評価結果のレポートも必要に応じてお渡しします。
Q4. 痛みが強い時でも評価してもらえますか?
はい、むしろ痛みがある状態の方が評価はしやすいです(痛みが再現する動作を特定できるため)。ただし急性の強い痛みは、まず医師の診察後が安全です。
Q5. 「気のせい」と言われたことがあるんですが…
痛みを「気のせい」と片付けるのは医学的に不適切です。身体的要因が画像に映らなくても、機能的・神経的・心理社会的要因は実在します。必ず改善の道筋があるので、諦めないでください。

まとめ:諦める前に、正しい評価を
- 「治らない痛み」は、評価されていない痛みであることが多い
- 6つの評価法で痛みの原因階層を特定することが改善の第一歩
- 画像所見だけに頼らず、全身を機能的に見る視点が必要
「どこに行っても良くならない」と諦めかけている方は、一度機能評価に特化した徒手理学療法をお試しください。痛みの階層が分かれば、道筋は見えてきます。

